世紀末 兄貴伝 ~私の筋肉は53万です~

本当は53万もありません。 主に英雄クロニクル(skss鯖)の書き物を保存しておく所。だったのですが、放置してた上に引退したので今後はメタルサーガ荒野の方舟のプレイ記にしていこうかなと思っております。

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3期での兄貴とノラの出会い

1
「男」はまたこの大地 ~ブリアティルト~ に立っていた。


大柄で筋骨隆々な体格、鋭い目つき、それらにより発せられる威圧感。
その全てが只者ではないと思わせる…

男は以前の争乱を生き延びた後、「門」を抜け元の世界に帰っていた。
しかし、その世界と変わらぬ不毛な国を見捨てられず、一人また「門」をくぐり抜けたのである。




今は995年、最後にこの土に別れを告げたときの「5年前」である…

  2
「彼女」はその日その運命に殉じ、その魂をフェネクスに運ばれるはずであった。

年の頃15ほど、長く綺麗な黒髪に、この土地特有の浅黒い肌。
日々、生きるために体を酷使し、肌は荒れ、手はひび割れている。

痩せている土地柄、老若男女問わず働かなくては生きてゆくことのできぬ「ありふれた村」



力無い者は鍬を振るい
力有る者は荒野にて獲物を追う

この土地では豊作など期待できぬ
その日の獲物の無い日もある



そのため多くの収穫物があった時には保存食として加工するものだ。
今はこの部族は抗争から開放され、その力有る者たちは傭兵として出稼ぎとして行っている。
つまり狩猟の成果が期待できない時期である。

そんな中、村の子供たちの中でも年長者である「彼女」が参加した狩りが未曾有の成果を収めた。
期待ができなかった時期での思いがけなかった成果な故に、村を挙げての祭りになった。
歌を歌い、肉を焼き、村民に惜しげも無く振る舞う。



端的に言えば「迂闊」だったのかもしれない


なぜ強者のいない狩りが成功したのか、鋭いものがいれば気付けたのか?
あるいはいつもの通り保存食とし、音や匂いを不必要にばら撒くこともなかったか?






[この繰り返される時の流れの中で、常に起こっていた「運命」であった]



3
「彼」がそこに立ち寄ったのは本当に気まぐれだった。
「門」を抜けた先からゼヒュンのもとまでの道から外れた山の近い村。
相棒のFLHRをブン回しての移動中、ふと思い立って寄り道したというだけのこと。


そろそろ日も落ち始め、今日も野宿かと思っていた時に視界の端に明かりが見えた。
こりゃあ運がよかった、と車体を傾けその村を目指す。

そして、違和感に気付く
日暮れとはいえまだ完全に暗くなっていないのに、村が明るいと感じる

スピードが出るとはいい難い相棒のケツを引っ叩いて村への道を急ぐ
そして



明るさの正体は、炎だった



阿鼻叫喚





男は相棒を村の入り口に乱雑に止め、走り出した…


4
時間は少し遡る




「彼ら」も生きるために獲物を追う。
しかし、圧倒的に知能は足りていない。

木々を薙ぎ倒し、騒音をたてながらでは獲物も逃げやすい。
今日の餌を確保しなければ自分たちは飢え死にだ、上からも命令されている。

その結果、普段は外に出たりしない自分たちのテリトリーから外れ、山を下りていた。

巨大な影が一つ、小さな影は九つ


どうやら自分たちの獲物は人間どもに奪われたようだ
普段なら気付かなかっただろう
だがわざわざ音と匂いで教えてくれた


日が落ち始めた頃、影は動き出す


村にバリケードはあるが部族間抗争時のもの、人間用だ。
小さい影ならばともかく、巨大な影にとっては少し邪魔な障害に過ぎない。


「ゴヷゼ!ヴバエ゙!」
「キキキキキキ!」



祭りが始まり、影が踊る。



5
なぜこんな事になったのか!、と「彼女」は家の中で声を押しころして震えている。

今日は自分も狩りに出て、獲物も多く取れ、さらに腕を奮って料理をこしらえた。
楽しいお祭りになるはずだったのに、と。


襲ってきたのはゴブリンの一団…だけならばなんとかなったのかもしれない。

そこには身の丈3メートルを超える巨躯、オーガがいた。



易々と防護柵を破壊し、なだれ込んで来る鬼共
村中から聞こえてくる悲鳴は、徐々に届かなくなる




自分は何もできない、弱い生き物だと今日まで気が付かなかった。
ついさっきまで笑い合ってた人たちも、もう生きてはいないだろう
仇を討つことなど考えることもできない、今この瞬間を生き残る方法だけを考えている

走って逃げる?
いやだめだ、見つかったら逃げ切れない

このまま隠れていれば…
それも無理だ、窓から入ってくる明かりが家々の燃えているものだとわかる



なにもできず、心臓が早鐘を鳴らし、絶望の足音がやってくる




6
数回の激震と破壊音ののち「彼女」が隠れていた家の半分がなくなる
屋根も吹き飛び、もう隠れるところは存在しない

周りを見ても建物は見当たらなかった、すべて壊され、燃やされたようだ

鬼と目が合う
にたり、と口元が歪んだ気がした


ああそうか、私はここで死ぬんだ
もっと生きていたかったな



鬼が手を伸ばしてきて、覚悟を決めた時
鬼の目の前を何かが飛んでいった
鬼の手が止まり、何が飛んできたのか確認する

つられて私もソレを見る
何かの塊だ、よくわからない



「お前ぇで最後か?」

後ろから声をかけられて、私も、鬼も驚いて振り返る
そこには「男」、村人ではない者がいた

一目見てただの旅行者ではないとわかる
圧倒される筋量、無駄のない身のこなし、強烈な眼光に気圧される


その周りには先ほど見た塊が転がっている

急に理解できた、アレはゴブリンの成れの果てだ

『最後』と言っていた
それほど驚異でもないゴブリンだが、あれほどの数をすべて相手にし終わったということなのか



その男が私と鬼の間に割って入ってくる

「た、たすけt」
「ゴア゙ア゙ア゙ァァァァア゙!!!!!!」

同時に鬼が吠え私の声はかき消される

鬼は男の迫力に抗うように丸太のような棍棒を振り上げ、叩き込んだ


しかしその緩慢な動作ににもかかわらず、男は避けようとしなかった


地響きと衝撃が身を揺らし、辺りに液体の飛び散る音が聞こえ、むせるような血の匂いに包まれる



が、その男はその場所から動くことなく、立っていた
「なぁ、お前ぇも生きたいよな…」

気が遠くなるのを堪えながら
「き、傷が!そ、そんな…」


ちらり、と男がこちらを見て、すぐに鬼に向き直る
「あぁ痛ぇさ、だから…すまねぇな!」

男が一瞬で鬼の懐に入り、踏み込んだ軸足が地面を割る
轟音を立てながら右拳が鬼の腹に吸い込まれてゆき





鬼が弾け飛んだ


7
理解に時間を要した
あれほどの暴力を振るっていた鬼は、今は物言わぬ肉の塊になっている

「男」は肉塊に向いつぶやいている
「すまねぇな、俺はこっち側、だからよ…」

男が呟いていたが、私の耳に入ることはなかった。
絶望からの救いに安心し泣き喚いていたからだ。

どのくらい時間が経ったろう、空は徐々に明るくなってきている。
恐怖の一夜が終わり、朝日が昇ろうとしている。

流石に泣き疲れ、冷静さを取り戻し周りを見渡す。
既に廃墟といっていい集落に、また込み上げるものがあったが飲み込んだ。

「あの人は…?」
近くには姿が見えない、もう行ってしまったのだろうか。
旅人のようだったし、こんなになってしまった集落には用がないだろう。
お礼を言いそびれてしまったことを後悔し、これからのことを考えながら歩き始める。

すると村の中心あたりに人影が見えた。
見間違えるはずもない、恩人だ。

何をしているのだろうと思って近づいてゆくと

「おう、落ち着いたか、なら祈ってやれや」

なんのことだろうと思ったが、彼の足元を見て理解した。
みんなの、墓を作っていたのだ。

「簡素だがしょうがねぇよな…」

墓の前でしばらくの黙祷、そして
「あの…ありがとうございます…」

見ず知らずの旅人が、みんなのために、怪我を押して、日が昇るまで働いてくれていたのだ。
自分にはこんな言葉を紡ぐことしかできないことを恥じた。

「なに、いいってことよ、力仕事は男の領分だからな」
そう言ってガハハと笑った。

その快活な笑いに幾分救われ、周りが見えてくる。
少し離れたところにもうひとつの墓があった。

「あの、あっちは…?」
「ああ、あれは『あいつら』の分だぜ」

一瞬なんのことかわからなかったが、理解して頭に血が上ってくる。
「な、なんでモンスターの墓なんか!」

大きくてゴツイ、でも暖かい手のひらで頭をポンと撫でられ
「あいつらもな、生きてたんだ。この世界に失われていい命なんて一つもないんだぜ…」

「でも…!」
「だからな、間に合わなくてすまねぇと思ってる」

大柄な男が頭を下げて謝っている。
自分を救ってくれ、村のみんなの墓を作ってくれた男が、すまないと頭を下げている。

自分がするべきことは感謝することで、責めることではない。
その葛藤からまた目頭が熱くなってきた。

「うう…そんな…謝らないで…ううぅぅ……」
「おいおい、泣かねぇでくれよ…湿っぽいのは苦手なんだよ…」

話題を変えようと男が話を切り出す
「っとそうだ、お前ぇこれからどうすんだ?もうここには居られないだろ、ほかの所に行くならついでに連れて行ってやってもいいぜ」

野垂れ死なれても目醒めが悪いからな、と付け加えられた。
そんなこと言わなくてもいいのにと思ったが、確かに身の振り方を考えなければいけない。
あのモンスター達もまた襲ってくる危険性もあるし、何より一人じゃこの荒野で生きてゆくことは到底無理なこと。
自分の力の無さを否応なしに自覚させられたのだから。


「わ…私は…強く、強くなりたいっ…!」
嗚咽混じりになんとか言葉を吐き出す。
質問の答えとしてズレていたのはわかっている、きっとこんなことを言われても迷惑だと思われるだろう。
しかし、今の気持ちを表すならこれしかないのも事実だった。

「2年だ」
「…?」
予想もしない言葉が耳に入る。

「2年もしたらブリアティルト全土を巻き込んだ戦争が起きる、それに生き残れるだけの力はつけてやる」
「…!」
ありえない話ではない、ゼヒュンはすでに部族をまとめあげたが傭兵を未だに募っているらしい。
しかしそんな噂話よりも、この男の確信を持った話し方が、その未来の話を信じさせるのに十分な説得力を持っている。

何より、この男の強さは目の前で見た。
この人のように力があれば、この人のようになれれば。

「お、お願い…します…」
「ならまず泣くのはやめな」
驚いて涙が止まる。

「自分の力の無さが悲しいんだろ?昨日の惨状を止められなかった自分が悔しいんだろう?」
「…」
的確に私の弱さを指摘していく。

「その涙はな、自分を弱くする。辛くてもな、腹に力入れて踏ん張りな。そんで力をつける糧にするんだ」
「…!」
その言葉がズシンと心に響く、目元を拭い気合を入れて前を見る。

「いい目だ!俺は兄貴だぜ!」
「…?」
いきなり何を言っているのだろうと思った。

「ガハハ!自分で言うのもなんだが、『兄貴』と周りから呼ばれてんだ、そう覚えておいてくれや!」
名前を名乗っていたのかと理解する、そして違和感がないことも感じて少し微笑んだ。

「私は…、私は『ノラ』です!よろしくお願いしますっ!」
「おう!長い付き合いになるかわからねぇが、よろしく頼むぜぇ!」




そして2人の歯車がこの世界の一部として機能し始める。
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